<< すわる」ということ― その 寛骨臼 | main | 「すわる」ということ― その 寛骨臼と大腿骨頭(後編) >>
「すわる」ということ― その 寛骨臼と大腿骨頭(前編)
タイトルは「すわる」ということですが、今しばらくは立位について考察してみますので、ご辛抱ください。

動物の骨格構造は、移動様式によって最適化を図った結果、あるいはその進化の過程として捉えることができるからです。移動するための機構の洗練を他よりも優先させます。

例えば、鳥の骨が中空になっていることや排泄物をためる機構を持っていないことなどは、全て空を身軽に飛ぶことを優先させた結果でしょう。

人体構造を語るには、二足歩行という移動様式から始めないといけないわけだし、その基本原理は、「なぜ立位か?」という点を明らかにしておく必要があるのです。

と、僕がエラソに、力んでみてもタカが知れております。これまでのささやかな経験時になった文献、そして解剖学のテキストを引っ張り出しながら、少し整理していきます。

そういうわけですから、この連載シリーズは、途中で休み休み、しかしどこかまでは進めていくつもりですので、気長にお付き合いください。

さて、寛骨臼の話でしたね。

股関節は寛骨臼が大腿骨の骨頭部を納めて、あたかもボールジョイントのような構造になっている。しかし、機械のボールジョイントと異なり、360度どの方向にも自由に動くわけではない。

最も楽な姿勢で立ったときに、そのボールジョイントには、どういう力がかかっているのだろうか?

大腿骨頭の受ける側の寛骨臼には一定の場所に負荷がかかっています。この場所は、寛骨臼の中で一番丈夫になっているところです。次に丈夫になっているところは、立位のときの骨頭の位置が90度ほどずれた場所です。四つ這いする時に、骨頭が納まるところです。

以前、アテトーゼタイプの脳性麻痺の児童や大人になった方たちに、膝受けの付いた椅子を個別に数台作ったことがありました。ちょっとした物音に対しても全身が伸展緊張してしまう人たちです。

緊張の起こり方を観察しました。例えば、首が後ろに反り返ると同時に全身が棒に様になってしまう人に合う椅子は、なかなかうまく作ることはできませんでした。セラピストと一緒に試行錯誤でした。

首の動きを止めることはできませんでしたが、膝が突き出してくる動きは、どうにか止めることができる人がいました。その人のために、調節式の膝受けを考案し製作しました。

椅子の座面は普通奥が低くなっていますが、逆に前を低くし、座面が前傾するようにしました。そのままだと滑り落ちてしまうので、膝関節を屈曲させ、膝を受ける形のクッションを作ったのです。

確かに最初はうまくいくのですが、30分もすると姿勢は崩れっぱなしです。それで再度、座り直させますが、やはり30分が限度です。

他の子でも、座らせた直後はとてもよい姿勢です。しばらくはいいのですが、30分も持たずダメでした。しかし、そのときは劇的にうまく座れることをもって、失敗と言う結論には達しませんでした。

つまり30分程度うまく座れたので、食事場面で使われることはありましたが、次第に使われなくなりました。やはり、結局どの椅子も失敗でした。

それで、僕が自分で座れるものを製作して試してみました。何と同様の結果です。最初は背骨が伸びて、とても気持ちいいのですが、30分程度は何とか我慢できます。しかし、だんだんその姿勢を維持するのが辛くなると言うか嫌になります。

ノルウェーで発明(?)されたバランスチェアも試しましが、同じ結果でした。

さて、僕のからだの中で、何が起こったのでしょうか? (つづく)
カテゴリ:「すわる」ということ | 21:03 | comments(0) | - | -
コメント
コメントする