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モノづくりのヒント 20

ブリコラージュ編集部に夏号の原稿(その24)を送付したところで、最近ブログに転載していなかったことに気付きました。左肩の検索欄に「モノづくりのヒント」と入れてみたら、昨年11月が最後で、その19で止まっていました。ちなみに次に出る初夏号の原稿はすでに校正済みです。

 

モノづくりのヒント

モノとモノの関係

 

例えばコーヒーカップとソーサーの関係だが、基本はどちらも容積が同じということだ。中のコーヒーがソーサーにも収まるようになっているのが正式(?)のデザインだ。もともとはカップからソーサーに移して飲んでいたからという説もあるが、粗相してもソーサーで受け止めてくれるようになっているからという講義も受けた。

僕の師匠の秋岡芳夫さんは家庭用の魔法瓶をデザインするときにヤカンの容積を調べ湯呑の容量を確認した。ヤカンでお湯を沸かし、それがちょうど入る大きさだと無駄がない。またお茶だと何杯になるのかも確認した。核家族化が急進していた時代だったので、サイズはそれまでになく小ぶりのものになった。

椅子とテーブルも親密な関係だ。椅子の高さは下腿高注1)よりやや低いほうがよい。靴を履く場合はヒールの高さを加味しなければならない。まず椅子の高さを決め、テーブルの上で展開されるドラマによって、その高さを決めるとよい。

楽に坐り肘を曲げたときの高さが目安となるが、読書と書字では微妙に異なる。文字を書くときはやや低めのほうが効率がよい。食事を中心に考えるなら、ナイフとフォークを使う場合は肘の高さに合わせるとちょうどよい。しかし箸を使う場合は、テーブルはできるだけ低いほうが快適だ。食べこぼしも少なくなる。

ところが介護現場では「人間運搬機である1945年型の車椅子(いわゆる標準型車椅子)」を椅子代わりにし、和食器を使わせているのに「洋式ダイニングテーブル」が採用されている。介護にかかわる方はこのシステムの破綻に気がつくべきだ。

実はモノとモノの関係だけではなく、その前提に者(利用者)が密接に絡んでいる。師匠は1970年初頭に「グループ・モノモノ」を立ち上げ、多くの先駆的な夢のあるプロジェクトを成功に導いた。「者と物」の関係を見つめ続けた偉大な工業デザイナーだった。

 

注)踵から膝の後ろまでの高さ

 

イラスト(小).jpg

 

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