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補装具の「借受け」について考える

昨日の話の続きになるが、そもそも「借受け」とは何だろうか?

 

まずは、どうでもいいことだが、本来は「借り受け」とおくり仮名を入れるか、さもなくば、おくりを外し「借受」がおさまりがいいと思う。「受け付け」とするか「受付」であろう。「受付け」はちょっとヘンな感じがするのは、僕だけだろうか。

 

スタート時にはたしか「補装具の貸与(レンタル)制度の検討」といわれていたようだが、介護保険による福祉用具貸与(レンタル)と紛らわしいから、この名称になったと思う。

 

昨年、この新しい制度についてのアウトラインの説明を受け、僕は「補装具のお試し制度」としたらよいのでは、と提案したこともあったが、ま、名称はどうでもいい。

 

秋山専門官が提示した資料によると、その「借り受けの基本的な考え方」に明示されている。

 

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概要は、以下の通り。

 

補装具費の支給については「購入」を基本とする原則は維持した上で、障害者の利便に照らして「借受け」が適切と考えられる場合に限り、新たに補装具費の支給の対象とする。

 

そして、種目と基準は表の通り。

 

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その基準によると、歩行器四輪型は月額990円と定められているが、介護保険による貸与(レンタル)は、厚生労働省が取りまとめたものでは平均額は2898円(平成28年)と大きく隔たる。ちなみに自己負担額99円を事業者は毎月請求し徴収することができるのだろうか?

 

事業者にとって実行の可能性が高いと考えられる座位保持装置(意思伝達装置は扱った事がないのでわからない)で試算してみる。

 

完成用部品として登録されている海外製品で構成してみると、合計約45万円。座位保持装置の耐用年数は3年なので、その3分の2ということなので24カ月。ひと月当たり18750円を頂ける(うち利用者負担は1割=1875円)ことになる。

 

実際に、この内容の依頼があった場合、何カ月利用していただけるかわからないが、事前の相談に出かけ、そこで機種が選定されたとしても、一度は現物に坐ってもらいサイズなどを決める。その後、貸し出し開始となる。そして何か月か後に引き取りに出向くことになる。

 

このプロセスを取るなら、3回は出向くことになる。機種もサイズも決まっていたとしても、2回は出向く必要がある。

 

出向く時間を仮に片道1時間としても、一回の移動時間2時間と対応時間1時間はかかるので、合計(最低でも)6時間。この間、調整などで呼び出しがなかったとしての話である。

 

仮に、仮合わせ前の試用として3カ月間利用していただくとなると、ひと月当たり18750円なので56250円。輸入元から我々事業者がいくらで借り受けられるかわからないが、その額を差し引き、一人のスタッフの人件費と経費を捻出できるだろうか?もちろん事業なので利益も必要。

 

利用者の側から見ると、仮に20ヵ月間利用するとなると、1875円×20ヶ月=37500円 の負担となる。購入の場合は上限額が37200円と定められているので、20ヵ月を超えると合計金額は増えてしまう。

 

当初は子どもの電動車椅子なども対象となっていたので、あの子にも使ってもらえればと顔が浮かんでいたが、結局は対象外となった。また、身障手帳をまだ持っていない子にも早急に対応できるようにとか、いう話もあったが、蓋を開けてみるとそれも消えていた。この新しい試みに、僕は夢を描くことができない。誰が喜ぶのだろう。実現の可能性が低い制度設計となってしまったようだ。ああ気分はバリアフル?

 

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僕の貧困な頭で邪推するには、政府は、ゆくゆくは国民皆介護保険化を狙っているように思う。介護保険の先行きが危ぶまれる中、医療保険と同じように20歳以上(現在は40歳以上)を被保険者とすると当然だが収入は増える。もちろん、保険なので保険料に対応する保証が求められるので、そのための一歩が今回の「補装具の借受け」制度なのかもしれない。

 

もちろん、その時は「介護保険」という言葉はふさわしくないので「福祉保険」ということになるのだろうか?福祉は教育や国防と並んで国家の重要な仕事である。そうなると税金でという話になるのだろうか?

 

 

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