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キャンバー角について
昨日の関連の話です。

車椅子を後ろ(あるいは正面)から見たときに、ハの字型になっているのを、「キャンバー角が付いた車椅子」といっていますが、自動車のキャンバーは下に狭くなっていますので、車椅子の場合とは逆です。



しかし自動車工学のほうが先だったので(だと思います)、車椅子の場合を逆キャンバーあるいは、ネガティブキャンバーと呼んでいます。また、その角度を表現する場合、「マイナス○○度のキャンバー」と、マイナスを付けて呼ぶようにしています。
参考;www.suekage.co.jp/alignment/yougosetumei/canbar/canbar.htm

自動車と車椅子のキャンバーの付け方が逆になっていることを、今ここで僕は、正しく説明する自信がありません。この点は今後の課題(「これからの人生の楽しみ」というほどには遅くない時期に解明できるはずです)ということにしておきます。

同じ四輪でも、大きな違いは、前輪の構造です。車椅子の場合はキャスターになっていることです。また、重量やスピードの違いやエンジンによる駆動などから説明がつくのだろうと思っています。わかる方は是非コメントください。

さて、昨日はパンテーラのエレガントな駆動輪の取り付け構造を明示しました。2.2度の設定です。これより大きな角度の場合は、その前日(一昨日)に写真を載せました。バスケットボールやテニスなどの競技にも使えます。

キャンバー角の働きを理解してもらうために、駆動輪を外して床の上で転がします。車輪がまっすぐに立っているときは、その車輪は直進します。しかし車輪が傾くと、傾いたほうに曲がっていきます。これは10円玉でも鍋の蓋でも、同じ原理に支配されています。

この物理の原理を応用したものがキャンバー角(正確に言うと逆キャンバー角ですが、わずらわしいので「逆」を省きます)の付いた車椅子です。

左右の車輪は内側に切り込もうとする力が働くので、直進性が増すということです。実はこのような説明を、1994年にスウェーデンに研修に行ったときに教わりました。

しかし、「逆の状態、すなわち下が狭くなった車椅子の場合も同じことが言えるのではないか」と問われると、今の私は答えに窮します。ものの本には「直進性が落ち、コントロールが困難」と表現されていて、実際にやってみてもそうなのですが、旨く説明できません。それに「自動車の場合はどうだ!」と畳み掛けられると、正直困ります。

やはり、ここは自動車工学を深く(なくてもいいかも)学ぶ必要がありますね。

しかし気を取り直し、胸を張って説明できることがあります。まっすぐ走っている車椅子を急にターンさせようとしたときのことです。ハの字型車椅子が圧倒的に優位です。左右の駆動輪がまっすぐに立っている車椅子は、基本的にまっすぐ走りたいという原理に支配されていますので、急に曲がれ!と言われても困るわけです。

ところが、ハの字型クンの場合は、左右とも、はじめから内側に曲がりたくて曲がりたくてたまらない状態です。片側が気合を入れて走るもんだから、こちら側も負けられません。

ですから、片方にブレーキをかけてやれば、ブレーキがかからなかったほうは「シメタッ!」とばかりに、内側に切り込んで行きます。ですから車椅子は、すぐにその場でターンします。これが、モントリオール・パラリンピックで初登場した秘密兵器の原理でした。

素早くターンできるという性能は、バスケットやテニスではたいへん重要な機能です。同じ体力や実力の選手が、競いあうなら性能の良い車椅子が絶対に有利になります。

ところで、通常の折りたたみ式の車椅子には、キャンバー角を付けた駆動輪をフレームに取り付けることができません。いや、製造はできるのですが、フレームの固定をしないで、それを実行した車椅子がどうだったかは、想像がつくでしょう?(余談ですが、パンテーラ・ジャパンのカルムは折りたたみ式ですが、特別な仕掛けで、高い剛性を持つことができていますので、キャンバー角が付いています)

「わかった!じゃあ、キャンバー角は大きいほうが、いいんだな?」と問われると、「はい」と答えながらも「そりゃ、そうなんですが・・・」とまた、歯切れが悪くなります。
(この話のつづきは、たぶん明日以降に。乞うご期待!)

カテゴリ:- | 21:00 | comments(8) | - | -
コメント
自動車と車いすのキャンバーの角度がなぜ逆なのか、ultraも気になります。中井に住んでいる父がバスの修理(2級整備士)をやっているので、電話のついでに聞いてみました。「そりゃむずかしーなー、わかんねーなー」と言っていました。ただ、バスの場合ほんの少し前輪の方が後輪より内側についているそうです。その角度も逆ハの字なのは父も認めていました。深いなぞの入り口です。
| ultra | 2008/01/31 9:38 PM |
前提条件の違いと、効果(目的)によってそれは異なることはわかっています。

今しばらくお待ちください。

しかし、ultraさんより早く答えが出せるかは、わかりません。お互い頑張りましょう。
| 光野 | 2008/01/31 10:07 PM |
いや〜 ほんまにおもろくて、専門的で、内容の濃い 素敵なブログですね。

こちらのブログでご紹介した所、早速知人も仕事中に読み入ってしまったとの事。

楽しくて内容の濃いブログ。
良い刺激を頂きいております。
こちらも生業である農業について、もっと専門的な記事を書き込むことも決意した次第です。

これからも、宜しくお願いします。
| 熊野どいらいファーマーズ 梅酒の山ちゃん | 2008/02/01 5:13 AM |
山ちゃん

楽しく読んでいただいて、ありがとうございます。
仕事中に読まれた仲間の方、「これも仕事だ!」と言えるといいですね。

そちらのブログも凄いですね。刺激的です。


| 光野 | 2008/02/01 6:38 AM |
光野さんご無沙汰致しております。
先日戴いたメールから、このブログのある事を知りました。

私の知っている車の知識だと、
前輪はなるべく軽い操舵で向きを変えるために逆ハの字のキャンパーが付いています。
曲がり易さなのに、車椅子と違う角度なのが面白いですね。(固定と可動の違いかも)
それと、コーナーなど荷重がかかった場合に、
サスペンションが縮んで、ボディーが傾き、キャンパー角が少なくなるため、
タイアが地面と平行になり、タイアの性能をフルに活用するためです。
(コーナリング性能、ブレーキ性能)

逆の後輪はマイナスキャンパー(車椅子と同じ)が付いている車種もあります。
4輪独立サスを売りにしたころのブルーバード510とか
BMWは今でも車種によって見る事ができます。

近年サスペンションの構造が良くできているので、
サスペンションの伸縮にかかわらずタイヤが傾かないため、
最近の車種はキャンパーを付けない傾向にあります。
いずれにしても、タイアの性能を極力活かすための工夫といえるでしょう。
| デカパンダ | 2008/02/01 12:46 PM |
デカパンダさん、貴重な情報です。
しばらく情報収集してみて、結論は出ないかもしれませんが、まとめてみたいと思います。またよろしく!
| 光野 | 2008/02/01 1:34 PM |
コメント返しありがとうございます。
これからも時々、突っ込み入れさせて頂きます。
| 熊野どいらいファーマーズ 梅酒の山ちゃん | 2008/02/03 8:21 PM |
市販車の大半はプラスキャンバーですがレースカーはマイナスキャンバーです、カーブを速く走れるようにする為の設定だと聞いたことがあります。
| ichiro | 2018/05/19 9:15 PM |
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