電動車椅子を学ぶ

昨日の工房の勉強会は「こっぱ舎」による「簡易電動車椅子を知ろう!」でした。「こっぱ舎」は工房の古い仲間です。

 

代表者の橋本さんのプレゼンは、とても興味深いものでした。もともとは、工房の仕事は木工を主体としたモノづくりでした。橋本さんは、電気関係の技術者として働いていたそうですが、その後、職業訓練校で木工を学び、工房の仕事に携わるようになったのですが、木工を主にしていた工房の仲間では、いち早く電動車椅子に取り組んだ人の一人です。

 

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下のグラフは、こっぱ舎の例ですが、わが国の傾向を示しているのじゃないかと思いました。学齢に達するまでは、電動車椅子は与えない、ということもよくわかります。このことは、海外の事情を知った人がいつも指摘する点です。

 

少し前までは、小学生でも高学年にならないとダメという規定がありました。これは今は撤廃されましたが、現場の職員さんたちはこのことを知らない方もまだ少なくないようです。

 

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僕がスウェーデンで学んだころ(今から30年以上も前)でも、学齢前の子どもたちが使うかわいい電動車椅子が無償で貸し出しされていました。

 

小さい時期に自分の意志で動くことを学んだ子は、その後の発達にはもちろん、歩行訓練でも成果を上げていることは、世界のリハでは広く知られ、エビデンスも挙げられています。

 

わが国では関係者が、その事実に目をふさいでいるのか、福祉貧困国のため悔しいので「早くそんなもの(電動)を与えると、自分の足で歩くことを意識できなくなる」なんて、非科学的なことを唱えるリハの先生(セラピストも含む)たちの声が大きい。悲しいことです。「この世界はエビデンスが大事だ」と大声で叫んでいる方々です。

 

こっぱ舎の仕事は、まさしく現代の工房の仕事の一面を担ったものといえます。個別の対応です。手の動きや指の動きに制限がある子どもたちに対応しています。

 

利用者に正面から向き合っています。何度もやり直すという仕事ぶりはまさしく、工房の鑑(かがみ)ですね。

 

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ローテクはわかるけど「アルテク」とは、きっとあるもので何とか対応しようという工房スタイルかなと思って尋ねたら、まさしくその通り。つまりブリコラージュですね。

 

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後半は、メーカーであるヤマハ発動機のプレゼン。

 

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向かって左がこれまでのニッケル水素のバッテリー。右が少し大きくなったが新しいリチュームイオンのバッテリー。一回の充電で2倍長く走れ、しかも充電回数は2倍以上の長寿命。「値段は2倍ちょっとするが、4倍以上の機能を持っているので大変お得!」との説明に、思わず膝をたたいた。

 

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下は、ジョイスチック(操縦桿)を倒すときに、例えば左に倒す力が極端に弱い方への対応を説明しています。

 

利用者にジョイスチックを2周動かしてもらうと、青い線の軌跡がパソコンの画面上に表現され、それをもとに電子的に感度をコントロールしてくれるように設計されています。

 

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ですから、左へ倒す力が弱くても、その人の意思が伝わるようになっています。弱い力でも左へ曲がることが可能になります。この調整も我々販売店の仕事です。

 

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手や指の力が弱い方や、逆に力が入りすぎる方のためにスプリングを交換して対応できるようになっています。下はノブの形状とスプリングの相性を示す表です。

 

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ノブ(操縦桿)を外して中のスプリングを交換します。

 

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左から一番弱いスプリング。左から3番目が標準。彩色なし。

 

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この作業をやるためには、メーカーの指導を受け、認定が必要です。この後の時間に我々は無事認定をされました。

 

こっぱ舎とヤマハの皆さんのおかげで、とても有意義な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。来年もまたこの勉強会に来ていただけることを約束しました。

 

 

カテゴリ:- | 09:14 | - | - | -
新しい特別養護老人ホーム

昨夜の花城さんとの話で、この4月にオープンする新しい施設を串田さんと見学。彼女が施設長さんだ。

 

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部屋のユニットの名前がユニークだ。1階はヤクシマやグレートバリアリーフ、そしてアンコール・ワットやアユタヤ。2階に行くとグランドキャニオンやマチュピチュ、そしてガラパコスなど。

 

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玄関の横におしゃれな研修室。下が確かグランドキャニオンと名付けられたユニット。1ユニットには10部屋。合計16ユニットなので160人が定員だ。

 

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ずいぶん昔に開発した「来楽(ライラック)」も導入されていた。

 

 

 

 

カテゴリ:- | 14:33 | - | - | -
テラスに集合

以前、シーティングの本を作った仲間が我が家のテラスに集まった。4時から飲み始める。

 

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左は共著者の串田さん。右は編集者であり発行人の小平さん。

 

そしてすっかり日が暮れた7時過ぎに花城さんも参加。彼女はつい最近まで、串田さんの上司の理学療法士。今は特別養護老人ホームの施設長。といっても4月開所のために、その準備で寝る暇もないとのこと。

 

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寒くなってきたので部屋でコーヒー。

 

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カテゴリ:- | 13:57 | - | - | -
富士・富士宮地区の勉強会

毎年、湖山リハビリテーション病院で奇数月に開催されてきた勉強会も昨夜で一区切り。いつもながら串田さんの準備がよく、直前に30分ほど打ち合わせすれば、うまくいくようになっています。

 

この日は、事例検討と大渕先生から教わった呼吸のおさらい。

 

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FASTとは認知症の程度を表すものであるが、今、僕はステージ2から3への移行期だと自己判断。金銭管理についてだけに絞るとステージ4に差し掛かっている。

 

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前回、串田さんと担当のセラピストとともに検討し対応した事例です。

 

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6人一組に分かれたグループ討議のテーマは以下のようなものでした。

 

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20分後に代表者が板書。

 

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下をご覧ください。このような内容がわずか20分で確認されたのです。

 

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そして各チームの代表者(板書した方とは限らない)が発表。みんな素晴らしい!

 

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上は、串田さんが描いたもので、僕らが対応した事例の before/after の概念図です。これも実に的確。

 

この後、呼吸のメカニズムをたくさんの図を使って串田さんが解説。これについては割愛。

 

6時半から始まった2時間の勉強会〆の挨拶だが、串田さん曰く「今回の発表は、仕事が終わって何年もこの勉強会に参加していただいた成果です。2枚の写真とわずかな情報だけで、ここまで的確に問題点をとらへ、しかも解決案まで出していただきました。本日の参加者はほとんどが介護職の方でしたが、このレベルなら、フツーの療法士は太刀打ちできないのじゃないかと思います。皆さんの力でシーティングの底上げが必ずできます!」。

 

今回、僕も確かな成果を実感しました。ずっと続けてよかったと思いました。勉強会を重ねることによって「誰もが実行できるシーティング技術」が普及ができるはずと考えていましたが、これが可能ということがよくわかりました。もちろん、一日の仕事を終えて、ここまで通ってくるということ自体、既に選ばれた人ではあるのですが、自分が担当している方の車椅子の姿勢を何とかしたいというモチベーションがあってこそなのでしょうが…。次年度の継続を期待しています。串田さんご苦労様でした。またよろしく!

 

 

 

カテゴリ:- | 16:12 | - | - | -
本日から17日まで「ケアテックス」

開会の朝一番(10時)から60分の講演でしたが、多くの方にお出まし頂き、ご清聴を頂いたことに感謝です。

 

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ランダルコーポレーションのブースで3回「モデラート」説明。

 

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今年も素敵な人や企業と出会うことができました。明日からは先に入っていた仕事があり出向くわけには行けません。

 

また、もし見学したいと思っても、この企画はHCRと異なり、事業者・関係者しか入場できません。ご了承お願いします。

 

下は「ケアテック2017」が開催されているビッグサイトの入り口の様子です。もちろん暗くならないと見られないものなんでしょうね。大学生たちの作品です。

 

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カテゴリ:- | 22:27 | - | - | -
18時間飲み続ける佐世保のバカ人

3月11日(土・東北被災の日)に久しぶり(といっても1月14日以来ですが)の、(不遜な)佐世保バカ人会でした。

 

夕方6時集合で、6時20分から2時間飲み放題。

 

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飲み終えて記念撮影。

 

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その後、カラオケで放歌高吟。

 

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我が家で23時半から翌日4時半まで飲み続けた。おかげで目が覚めたのは10時半。そこからあわてて両国駅へ向かう。

 

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12時(正午)10分頃、両国駅に集合し、ちゃんこ鍋で飲む。

 

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どういうわけか、見知らぬ女性も一緒。

 

実は僕ら佐世保のバカたちが、佐世保弁ですいたごと喋って歩いていたら、前を歩く女性が何度も振り返った。

 

普段はシャイなおじさんたちもアルコールが助けてくれて、(たぶん)小さな声で「佐世保の人やなかとですか?」と尋ねたら、「主人が村上龍と同じ年(?)の佐世保ですとよ。ウチは諫早ですけど〜」と。

 

おじさん4人はたまげたとですよ。そいでですね、記念撮影と相成った次第とです。そいから、僕が以前から企画していた、かの有名な相撲神社詣です。

 

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僕は雲竜型、川原(中央)は不知火型を披露(疲労かな)。

 

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その後、近くに住む次女のうちになだれ込む。そこには(ヌア〜ント)カミさんとと長女一家も。そこを嵐のように通り抜け、次は川原の憧れ(蔵前ではない)両国国技館へ向かう。

 

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頭の上はスカイツリーばい。

 

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ここでおじさん(お爺さん?)物語は完結!(かな〜)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ:- | 23:07 | - | - | -
友人は人間国宝

本日(3月11日)の朝日新聞の土曜版(be)のトップページ「フロントランナー」に、わが友(!)須田賢司の仕事姿が半ページ、しかも総天然色で登場していた。

 

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三代(110年)続く指物師で、2014年に人間国宝に認定されている。そのお祝いの席にも参上したが、正しくは「重要無形文化材【木工芸】保持者」というらしい。

 

下のモノクロのページは3面だが、彼の仕事に取り組む姿勢がよくあらわされている。そこには僕らとの出会いのころの話も出ていて、一瞬で40年前の情景や会話が思い出された。僕らは同時代人として、このような人物と人生のわずかな期間であったが、肩を並べ席を共にできたことを、とても誇りに感じている。40年ほど前という時代こそが、今の我々の生き方を決定づけたことは間違いない。

 

http://www.asahi.com/be/frontrunner/

 

もっと詳しく知りたい方は、残部があるかわかりませんが、コンビニへ走り朝日新聞の朝刊を求めてください。新聞配達店には必ず在庫があるでしょう。

 

カテゴリ:- | 15:39 | - | - | -
街で見かけたもの

 

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確かにね。

 

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困ったもんだぜ、ベイビ〜!

 

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安心したぜ!

カテゴリ:- | 12:52 | - | - | -
秋岡芳夫と考える 中座の暮らし

本日、新宿オゾン5Fにある「にっぽんフォルム」でトークショウでした。僕の恩師(柳先生と秋岡さん)の一人について語るというワクワクドキドキのイベントでした。

 

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このお店の入り口には、ぬあ〜ント、僕をスウェーデンに招いてくれた人の作品が。

 

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柳先生の作品(購入可能)があちこちに展示され、しかもこんな家具も。

 

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上は同年の佐々木敏光君の作品。同じ九州の出身だが、2005年に若くして亡くなった。下は新居さん国際的にも著名なニイチェア。

 

これらを見て興奮するなといわれても無理です。生前の付き合いが、映像として一気に僕の前に立ち上がってしまいました。

 

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床坐と椅子座の話をしました。

 

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僕の「かに座」は、秋岡さんや豊口さんの影響を色濃く受けていることを語りました。お二人とも家庭の椅子をめざしています。僕もそうでしたが、一番の差異は「かに座」は畳の上で使うことを前提にしたデザインになっている点です。

 

これは、でく工房を始めた時(むしろその当時だったからこそ=フローリングの部屋は少なく畳の部屋が主流だった)から、畳の部屋で使えるデザインにしたことが、この時も色濃く残っています。また実際にこのデザインの動機になったのは、片麻痺になった父が仏間に小椅子を持ち込み、仏壇に手を合わせていたことからです。

 

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椅子デザインの権威・島崎信さんもお見えで、少し驚きました。先方は僕のことをご存じではないはずですが、僕は秋岡さんのところで、何度かお会いしましたことがありますし、著書や翻訳も読んでいます。

 

トークショウが終わって、少しお話をすることができました。トークショウの中で僕が「学生時代に学んだ椅子の人間工学は、今、思うと静的な使用を前提にしていたもので、秋岡さんやノルウェーのバランスチェアやトリップ・トラップで有名なピーター・オプスヴィックの仕事から、椅子にはもっと動的な要素からアプローチする必要があることを学んだ」という話にいたく同感され、島崎先生も「人間工学会(?)で同様な発言をしたことがある」とおっしゃりいっぺんに意気投合。

 

そして最後に、今回のタイトル「中座の暮らし」の「中座」はおかしいのでは、という指摘もありました。確かに「中座する」という言い方があり、それは途中で退席することを意味しているので、少し無理があるのでは、ということです。それで、「低座」でいいのではないかとおっしゃるのに、同感した次第でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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